Osteria Bevitrice(仙台)ほか

近頃Takumi&Toshiの二人にフィドル、コンサーティナ、ホイッスルを演奏する仙台のマルチプレイヤー阿部さんを加え三人で活動しています。阿部さんとは以前遠刈田温泉で一緒に演奏したことがあったんですが、12月のOsteria Bevitriceでまたご一緒しました。僕もアコーディオンを持って行って組み合わせを変えつつ合わせてみました。これだけ楽器が入ると楽しいものです。

1月28日には、学生時代入り浸った古巣のアイリッシュパブBarm’sで、この三人でのライブを行いました。場所柄いかんせん気持ちが寛ぎすぎて箍が緩んでしまうところがあるんですが、そうこうしてるうちに何の前触れもなくTRADさんが現れたりして、くだけた雰囲気に拍車がかかったような気がします。自分で言うとあれだけど、民俗音楽じゃこういう気安さが肝心なのかもしれない。ちゃんとやれって言われてしまえばぐうの音も出ませんが。

このへんで本題。来月12日、ふたたびOsteria Bevitriceにてライブがあります。こちらでは以前から毎週日曜日にワールドミュージックのライブを開催していて、その一環としてこの三人でアイルランド音楽を演奏させて頂くことになっています。前回はぶっつけの部分もあったんですが、せっかく三人になったので、いろいろと作戦を練っているところ。あと二週間しかありませんが、これまでできなかったようなライブができるといいな、と考えています。お時間のある方は是非。

それから、3月に盛岡で演奏させていただくことになりそうなんですが、そちらは公式発表を待ってからにしようかと思います。ひたすら寒いけど精進せねば。

近況

半年近くほっといて近況もなにもあったものではないですが……。

そろそろ忘れてしまいそうなので、10月以後のことを簡単にまとめておきます。

 

10月15日 花巻国際交流協会主催の「多文化理解サロン」にて、TRADさん、ハイランドパイパーのWallaceさん、遥々東京からやってきたのすけ師匠と一緒に演奏しました。この日の夜は花巻のアイリッシュパブThe KEGでセッションでした。

10月23日 遠野で陶芸家加守田章二の陶房跡が公開施設として整備され、この日にオープニングイベントが行われました。そこで少しだけ演奏させて頂きました。本格的に寒くなる前の穏やかな時期で、木立に囲まれた場所で演奏するのは気持ちがよかったです。

11月12日 宮古のTRAD夫妻が遠野に遊びにきてくれました。普段お世話になっているCafe Bar Reverseさんにて、三人で少し演奏しました。顔見知りのお客さんも来てくれて、かなり盛り上がってました。

11月24日 アメリカの凄いアイリッシュフルート奏者Hanz Arakiさんが、フィドルのKathryn Claireさん、ブズーキの中村大史さんと遠野まで演奏に来てくれました。僕が遠野に来てからは初めてですが、これまでも何度か遠野でライブを開催したことがあるそうです。素晴らしい演奏でした。

12月11日 仙台のイタリア料理店Osteria Bevitriceで演奏しました。いつものToshiさんに加えてフィドル、コンサーティナ、ホイッスルを演奏する仙台の友人と三人でのステージでした。こちらでは来月もう一度お世話になる予定ですが、あとで別エントリーで紹介します。

今年は全国的に寒さが厳しいですが、遠野も去年より気温が低いように感じます。それから、この頃また地震が増えてきたのが気になっているところです。

ライブ報告(盛岡)

25日はクロステラス盛岡で演奏させて頂きました。

6月に大船渡でのイベントをお手伝いして以来の縁で、今回の話が決まりましたが、主催の方と直接お会いしたこともなく、演奏も聴いて頂いたことがないまま話を進めるのは少し心苦しいところもありました。そんな理由で手探りのステージでしたが、立ち止まってくれたお客さんも多く、嬉しかったです。

こんなに立派なステージで演奏してよいものかと自問するばかりでした。「演り逃げ」ではなく、きちんと企画して、きちんとアピールして、ということを心がけるには、今回の二日間はいい勉強になったと思います。そろそろ大人になれ、と言われているような気分です。今月のイベント二つもオフィシャルな感じのものなんですよね……。

曲目は遠野とほとんど被るので割愛しますが、この日はScarborough Fair / Kid on the Mountainを演奏しました。初イングリッシュトラッドです。John Renbournが好きなので興味はあるのですが……。二曲目はアイリッシュのスリップジグです。マイナー系のレパートリーはもっと増やしたい気がしますね。

定禅寺ストリートジャズフェスティバル(2)

後手後手になっていましたが、ジャズフェスの記録です。

我々の次に演奏したのは「すらいごめいと」さん。関東を拠点に活動するホイッスル/ローホイッスルとブズーキ/歌のデュオです。彼らの伸びやかで人情味のある演奏は、いつも目標とするところ。気構えていないのに聴き入ってしまう。我々もそんな演奏がしたいものです。

会場を移動して、TRADさんの演奏を聴きに行きました。いつもお世話になっている、フィドルとキーボードでカナダ・ケープブレトンの音楽を演奏している宮古の夫妻です。沿岸で被災されたお二人の思いが詰まった、力強く素晴らしいステージでした。

観客の人だかりが大きくなっていくのを見ながら、どこか勇気づけられるような感覚がありました。辛いことであっても思いを共有することによって、経験を糧に変えて行くことができる。伝えようという思いと、知りたいという思いが出会う場を、今回のジャズフェスは作ってくれたような気がします。この日仙台にいたということで、仙台の街との絆が深まったようにも思えました。

二日目はフォルクローレ、ブルーグラス、ミュゼット/マヌーシュスウィングと聴いて回りましたが、圧倒されるばかり。ジャズフェスって本当に贅沢なイベントです。錦町公園の純米酒バーにも行きました。乾坤一はやっぱりいいなあ。こんど仙台に行った時は買ってこよう。

最後に仙台のアイルランド音楽さーくる「あいりっしゅ」の演奏を聴きました。ハープ、フィドル、コンサーティナ、フルート、ホイッスル、ボーランと充実した編成です。今年はダンスまで入り、今年は一段と本格的な感じが伝わってくるステージでした。詳しい解説も良かった。40分のステージとは思えない充実ぶりでした。

それから、私が仙台入りした9日には、神奈川のぼちーばんどさんのライブがありました。本場のバンドかと思うほど伝統的な音楽を聴かせてくれるバンドです。ホームの首都圏ではバンドとしてあまり活動していないと伺いますが、もったいなさすぎる。

ライブ報告(遠野)

24日遠野、25日盛岡のイベントに来てくださった方、ありがとうございました。イベント続きの9月が終わり、ほっとしてます(週一くらいで多忙だなんて言ってちゃ笑われそうですが)でも、10月も結構イベントあるよなあ……。

一日目の遠野では、日頃お世話になっているTANTO TANTOさんで演奏させて頂きました。天井が高くて開放感があり、演奏していてとても気持ちのいい場所でした。表は山が間近に迫り、星空が広がり……。個人的にはアイルランドを再訪したような気分でした。果たして、演奏がどこまでその気持ちの高まりを伝えられるものだったかは謎ですが、顔見知りの多いお客さんに盛り上げて頂き、楽しいライブになったと思います。

曲のことなどをいろいろ話しながら、というのが初めてだったので、どうなることかと思ってたんですが、まずまずだったかな。

演奏曲目は以下の通りです。

The Kesh

何度か続けて出だしの曲に使い、飽きてきたのでジャズフェスで封印してました。でももう復活しました。実は結構好きなんだと思います。

Sweeney’s Dream / Coleman’s Cross / Humours of Loughrea

ジャズフェスで演奏したリールのセットです。

Water Is Wide

最近ご無沙汰だけど、ごく初期から演奏してる曲です。

Siege of Ennis / Kerry Polka / John Ryan’s Polka

仙台あいりっしゅ(サークル)の定番セット、通称「タイタニックポルカ」です。最近タイタニックで流れるのが最後の曲だけだと知りました、じゃあ、このセットの出所は?オリジナル?先輩方見ていたら教えてください。

Danny O’Mahony’s / Humours of Kilclogher / Cuigiu Lasses

ジャズフェスで去年から演奏しているジグです。

Within a Mile of Dublin / Laurel Tree / London Lasses

ジャズフェスで演奏したリール。個人的には凄くテンションが上がるセットなんだけど、それほどウケてないような……。

Sí Bheag, Sí Mhor

定番にしているオキャロランの名曲。ギターソロが人気のようです。

Down by the Sally Gardens

世界中のアイリッシュ初心者が演奏するであろう曲でありながら、なかなか手放すことが出来ない魅力的な歌です。

Danny Boy

お馴染みダニーボーイ。アイルランド音楽を紹介するイベントってことで、身近な曲を入れてみました。

Star of the County Down

夜明け前、小雨の降る栗原市花山地区で自転車を押しながら突然脳裏に蘇った旋律。山里の静謐な朝にしっくりくるなあ、などと思って、帰宅後調べてみたらこの曲でした。旅人とおぼしき男が、すれ違った美女に一目惚れするという歌。邂逅の舞台はやっぱり早朝の湿っぽい薄暗がりなんじゃないかと勝手に考えてます。

County Down

ジャズフェスで歌った歌です。

Highland / Off to California / Miss McLeod’s

これも去年まで欠かさなかった定番セット。最近The Sessionで最初の曲がハイランドではないと知り、苦し紛れな紹介になってしまいました。

Hard Times

遠野でもこの曲を演奏することにしました。

Taimse Im’ Chodladh

笛のソロ。今回はスローエアやってもいいよね、という自己判断。美しい曲です。

Matt People’s / Old Copperplate / Over the Moor to Maggie

リールのセット。

Kerry Fling / Graf Spee / Gypsy Princess

すこし穏やかに始まるセット。最後の曲は開放的なイメージの楽しい曲なんですが、演奏でいつも悩んでしまう部分があります。

アンコールは「父兄参加」で。

実は仕事で来られない筈だった宮古のTRAD夫妻がいらしてました。奥様はさすがにキーボードを持ってきてはいなかったようだけど、旦那様にフィドルで参戦して頂きました。仙台からいつも来てくれるI谷さんにもパーカッションで入って頂き、セッション風に何曲か演奏しました。何時Geantraíの収録が始まってもおかしくない!って言うと自惚れすぎか……。

「ケルトの島」 続き

泥炭村

先日の文章を書いたあとで、若干補足したいことが出てきました。

なぜ「ケルトの島アイルランドの音楽」であって、「アイルランド島のケルト音楽」ではないのか、ということですね。後者だとなんだか苦し紛れに付けた論文のタイトルみたいで素っ気ないというのもありますが、それだけではありません。たしかに、ケルト文化再興の試みに敬意を払って「ケルトの島」としたのはいいのだけど、私たち日本の聴衆にとって、アイルランド音楽は果たして「ケルト音楽」なのか?という点には疑念があるのです。

たしかにアイルランドはケルト文化の息づく島です。でも、アイルランド音楽に使われる楽器のほとんどは古代ケルトの時代にはなかったものです。フィドルやパイプスは比較的歴史の古い楽器ですが、それでも中世まで遡れるのはハープくらいのものではないでしょうか。伝統曲ひとつひとつを見ても、技術的に新しい筈の機能和声に基づいた曲も少なくありません。アイルランド音楽は長い歴史を持っていますが、おそらく長い歴史の中で常に姿を変えてきたのだと思います。そんななかから、特に中世を彷彿とさせる古風な曲を選び出せばたしかに「ケルト音楽」的なものにはなるかもしれませんが……。

私は、音楽を愛するアイルランド人が、常に新しい外来の文化に敏感であったということの評価が必要だと考えています。これはやや抽象的な議論ですが、もうひとつ別の理由があります。アイルランドという国やその歴史を知らなくても、この音楽を楽しむことが出来る筈だという確信です。ヨーロッパの長閑な片田舎で演奏されていそうな、陽気で、素朴で、時に神妙な音楽。ケルト十字やラウンドタワーよりも、茅葺きのコテージや冗談好きな人びとを思い浮かべさせる音楽を演奏したいと思うのです。ケルトというルーツがアイルランドにとってとても大切なものだということと、同時にアイルランド音楽のなかでも普遍的で肩肘の張らない、足下の生活を慈しむ気分にさせてくれるような音楽をやりたいという気持ちの兼ね合いで、こんな表現に至ったのでした。